三浦ノート

自分の経験したことを検索可能にしていくブログ.誰かの役に立ってくれれば嬉しいです.

2018-01-01から1年間の記事一覧

正準変換は群をなすことのシンプレクティック表示による証明

目次 無限小正準変換はリー代数をなす ハミルトン方程式のシンプレクティック表示.正準変換の特徴付け. ポアソン括弧は正準変換で不変である 正準変換全体の集合は変換の合成を積として群をなす 無限小正準変換はリー代数をなす 相空間(q,p)上の物理量 f(q…

MathJaxで数式に色を付ける方法 (\textcolorコマンドの読み込み方)

MathJaxで数式に色を付ける場合は\textcolorコマンドを使えばよい. color.jsをインポートすることで使うことができるようになる. (2019年9月13日 追記:Mathjax 3.0 の場合,extension が自動で読み込まれるようになりましたので,\textcolorはすぐに使え…

latexで脚注の文字サイズを本文の文字サイズと同じにする方法

LaTeXで脚注の文字サイズを本文中のものと同じにするときはプリアンブルに以下を入力すればいい. \renewcommand{\footnotesize}{\normalsize} これは単純に文字サイズを指定するコマンドの\footnotesizeの設定を再定義しただけである. つまり,脚注とは関…

LaTeXで式参照のときに脚注にその数式を再表示するマクロ

LaTeXで式参照のときに脚注にその数式を再掲するマクロを調べて作った(ほぼコピぺだが).\repeatable{数式}{ラベル}で数式とラベルの登録.本文中で\repeatref{ラベル}で参照することでそのラベル付けされた数式を参照するページの脚注に再掲できる. 私が…

1次元調和振動子の位置と運動量の行列要素の計算 [PDFあり]

本記事のPDF版をBOOTHにて無料で公開しております.印刷して読みたい方など是非ご利用ください. 三浦と窮理とブログ--1 次元調和振動子の位置と運動量の行列要素の計算 - k-pmpstudy - BOOTH(同人誌通販・ダウンロード) 1次元調和振動子の波動関数はエル…

1次元調和振動子の波動関数の規格化と基底状態・第1励起状態の存在確率の計算

1次元調和振動子の波動関数はエルミート多項式を用いて $ \psi_n(\xi) = A_n H_n (\xi) e^{-\xi^2/2} $ と表せる.ここで,$ \xi =\sqrt{m\omega/\hbar} x $ ,$ A_n $ は規格化定数とする. ・規格化定数の決定 \begin{align} 1&= \int_{-\infty}^{\infty} …

U(1)ゲージ場の場の強さから作られる擬スカラー量の全微分形への変形

$ U(1) $ゲージ場の場の強さ $ F_{\mu\nu} = \partial_\mu A_\nu - \partial_\nu A_\mu $ から作られる擬スカラー量 $ \epsilon^{\mu\nu\rho\sigma} F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma} $ に対し, \begin{equation} \epsilon^{\mu\nu\rho\sigma} F_{\mu\nu}F_{\rho\s…

無限小座標変換による体積要素の微小変化量

任意の無限小座標変換 $ x^\mu \to x'^\mu = x^\mu + \delta x^\mu $ において,体積要素 $ d^4x $ は \begin{equation}\label{eq:d4x} d^4x \to d^4x' = d^4x + d^4x\partial_\mu \delta x^\mu \end{equation} と変換されることを示そう. 小行列式と余因子…

maximaで正方行列の小行列式を一度に全て計算して書き出す関数

maxima で正方行列 X = (Xij) の(i,j)小行列式を全て書き出す関数が以下である. minors(X):=for i:1 while i<=matrix_size(X)[1] do (for j:1 while j<=matrix_size(X)[1] do print(i,j,"=",determinant(minor(X,i,j)))) 単純にminor関数を繰り返して計算し…

LaTeXで括弧付きのsmallmatrixの入力の仕方

mathtools パッケージに psmallmatrix環境が用意されていて,括弧つきの小さい行列を表示できる. 例 ・普通のpmatrixの場合 \begin{equation} \begin{pmatrix} 1 & 0 & 3 \\ 1 & -3 & 3 \\ 1 & 3 & -3 \end{pmatrix} \end{equation} ・psmallmatrixの場合(…

LaTeXで \underbrace で数式の下に長めの文字列を表示しても空白が出ないようにする方法

LaTeX で mathtools パッケージの \mathclap コマンドを使うことで,\underbrace で数式の下に長い説明を入れても数式の方に空白が出ないようにできる. 例 MathJaxではmathtoolsに対応してなくて中央寄せができないそうなので,以下に示す例は右寄せになっ…

ネーターカレントから得られる保存電荷と場のポアソン括弧と交換関係

九後汰一郎 『ゲージ場の量子論 I』p15 から以下の計算をまとめる. 作用積分 $ S[\varphi(x)] $ が場 $ \varphi(x) $ の無限小変換 \begin{equation} \varphi(x)_i \to \varphi'_i(x) = \varphi_i(x) + \epsilon G_i(\varphi(x)) \end{equation} について不…

ポアンカレ群の計算ノート

私が Pierre Ramond ”Field Theory A Modern Primer” §1.3 の ”The Poincaré Group” を読んだときにやった計算を載せていく. 文字の定義 P:平行移動の生成子・運動量 L:軌道角運動量 M:ローレンツ変換の生成子 W:パウリ- ルバンスキーベクトル 目次 文…

エルミート多項式の母関数と漸化式の導出

エルミート多項式 Hn(ξ) (n ≥ 0) は,以下の式を満たす. \begin{align} \sum_{n=0}^{\infty} \frac{H_n(\xi)}{n!} t^n &= e^{-t^2 + 2\xi t} =: S(\xi,t) \label{eq:bo}\\ H'_n(\xi) &= 2nH_{n-1} (\xi) \label{eq:'}\\ H_{n+1}(\xi) &= 2\xi H_n(\xi) -2nH…

1次元調和振動子のシュレディンガー方程式をエルミート多項式で書き下す

量子力学演習シリーズ ある固定した中心に向かって,その中心からの粒子の変位に比例した力を粒子が受ける場合を考える.その時のポテンシャルは V(x) = mω2 x2 /2 で表され,このようなポテンシャルに従う系を調和振動子系という.(ω は角振動数) この系…

1次元有限井戸型ポテンシャル中の粒子の波動関数のパリティ

量子力学の演習問題シリーズ 次の1次元ポテンシャル中の粒子を考える. \begin{equation} V(x) = \begin{cases} -V_0 / 2a & |x| a \end{cases} \end{equation} ただし粒子のエネルギー固有値 E を, - V0 / 2a < E < 0 , V0 > 0 , a > 0 とする.ポテンシ…

2次元球面 S² のKillingベクトル場の導出

半径が a の2次元球面 S2 の計量は ds2 = a2( dθ2 + sin2θ d$\phi$2 ) a:定数,0 ≤ θ ≤ π ,0 ≤ $\phi$ である. この空間のKillingベクトル場は \begin{align} K_1 &= \frac{\partial}{\partial \phi} \label{eq:K1} \\ K_2 &= \cos \phi \frac{\partial}{…

ミンコフスキー時空のペンローズ図を描く

時空の大域的な構造を図示するために,無限に広がる曲がった時空を共形的に変形して平面の有限領域に写して考える方法がある.それをペンローズ図(または共形図)とよぶ. ここではミンコフスキー時空のペンローズ図を描こう.因果関係を見るために時間座標…

フラクトゥーア(ドイツ文字)の発音・手書きの Anki 単語帳

フラクトゥーア (ドイツ文字)の発音と手書きを覚えるためにAnki単語帳を作った. 公開ページ → Fraktur pronunciation&handwriting - AnkiWeb カードの構成 表面 LaTeXを使ってフラクトゥーアの各文字を表示する. 裏面 対応したRoman アルファベット 発音…

位相幾何学の記法まとめ

本ブログでの位相幾何学について述べられているページでの記法をまとめる. 主に参考 *1 にしたがっている. 単体ホモロジー K(0) は単体複体 K に含まれる0-単体(頂点)の集合. |K| は単体複体 K をRm 上の部分集合として見たもの.すなわち $|K| = {\displ…

球対称な時空の計量の微分形式を用いた導出

あるまとまった領域に質量 m と電荷 Q が存在し,その周りに球対称な部分空間が形成された時空の計量は \begin{equation} ds^2 = - \left(1- \frac{2m}{r} +\frac{Q^2}{r^2} - \frac{1}{3}\Lambda r^2 \right)dt^2 +\left(1- \frac{2m}{r} +\frac{Q^2}{r^2} …

MathJax で \pounds コマンドを定義する.

MathJaxではLaTeXにおける\poundsがデフォルトでは入力できないのでunicode入力を使ってマクロを定義してしまおう. \poundsコマンドを使いたいページのはじめに $\def\pounds{{\\it\\unicode{xA3}}}$ を入力すればよい. またはヘッダーにあるMathJaxのマク…

単体複体としての連結性と位相空間としての連結性が同値であることの証明

目次 記法 定義 位相空間が連結である. 位相空間が弧状連結である. 単体複体が連結である. 補題 命題 証明 K が複体として連結である. ⇒ |K| は位相空間として連結である. K が複体として連結である. ⇐ |K| は位相空間として連結である. 記法 K(0) は…

ポテンシャルの存在しない空間における1次元自由粒子のシュレディンガー方程式

ポテンシャルの存在しない ( V(x,t) = 0 ) 空間における1次元自由粒子について考える. 目次 シュレディンガー方程式の変数分離 定常解 確率密度と確率流密度 分散関係 シュレディンガー方程式の変数分離 V = 0 のときのシュレディンガー方程式は \begin{equ…

運動量演算子の固有関数の正規直交性と完全性

運動量演算子 $-i\hbar \frac{d}{dx}$ の性質を述べる. 目次 固有値方程式と固有関数 離散固有値 直交性 完全性 固有値方程式と固有関数 k を任意の定数として,微分方程式 \begin{equation} -i\hbar \frac{d \psi(x)}{dx} = \hbar k \psi (x) \end{equatio…

ポテンシャル V 中の粒子の確率密度に関する連続の式(微分形・積分形)の導出と確率密度・確率流密度の物理的意味

目次 問題 (a)の解答 (b)の解答 (c)の解答 問題 ポテンシャル V(r , t) 中の粒子の状態を記述するシュレーディンガー方程式を \[i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (\boldsymbol{r},t) = \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2+V(\boldsymbol{r},t) \rig…

beamerで水平線に色を付けるためxcolorパッケージのオプションを指定しようとしたがbeamerと競合したので気をつけよう

経緯と問題 beamer を使ってポスターを作っているとき,\hruleで引く水平線に色を付けたいと思った. そこで調べると,xcolorパッケージでオプションを選ぶと指定できる色の種類が増えることを知った.*1 そこでプリアンブルに\usepackage[x11names]{xcolor}…

水素原子の基底状態のエネルギーと半径の長さの古典的概算

問題 水素原子が半径 $r_0$ の球と考える.電子の位置の不確定さが $r_0$ 程度で,$r_0$ と運動量の不確かさ $p_0$ の積 $r_0 p_0$ が最小になる基底状態を考えると、不確定性原理より運動量の不確定さは $\hbar / r_0$ 程度ということになる.電子の持つエ…

1000ボルトで加速した電子の位置と運動量の測定不確定性

問題 1000ボルトで加速した電子の位置 x と運動量 p を,同時に測定することを考える.位置の精度を 10-10 m で測定できたならば,運動量成分は何パーセント程度の測定となるか. 解答 電子の持つエネルギーは eV [J] である.(e:電荷素量.V = 1000) ポ…

ガウス波束の運動量表示とその不確定性

問題 ガウス波束の不確定性(位置と運動量のゆらぎの積)の計算 - 哲数物を学ぶ 上の記事の問題の設定において,運動量の確率密度を求め,図示せよ.位置と運動量の確率密度の幅から,不確定性関係を考察せよ. 解答 運動量固有状態の位置表示波動関数 \begi…