三浦ノート

自分の経験したことを検索可能にしていくブログ.誰かの役に立ってくれれば嬉しいです.

物理学

U(1)ゲージ場の場の強さから作られる擬スカラー量の全微分形への変形

$ U(1) $ゲージ場の場の強さ $ F_{\mu\nu} = \partial_\mu A_\nu - \partial_\nu A_\mu $ から作られる擬スカラー量 $ \epsilon^{\mu\nu\rho\sigma} F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma} $ に対し, \begin{equation} \epsilon^{\mu\nu\rho\sigma} F_{\mu\nu}F_{\rho\s…

無限小座標変換による体積要素の微小変化量

任意の無限小座標変換 $ x^\mu \to x'^\mu = x^\mu + \delta x^\mu $ において,体積要素 $ d^4x $ は \begin{equation}\label{eq:d4x} d^4x \to d^4x' = d^4x + d^4x\partial_\mu \delta x^\mu \end{equation} と変換されることを示そう. 小行列式と余因子…

ネーターカレントから得られる保存電荷と場のポアソン括弧と交換関係

九後汰一郎 『ゲージ場の量子論 I』p15 から以下の計算をまとめる. 作用積分 $ S[\varphi(x)] $ が場 $ \varphi(x) $ の無限小変換 \begin{equation} \varphi(x)_i \to \varphi'_i(x) = \varphi_i(x) + \epsilon G_i(\varphi(x)) \end{equation} について不…

ポアンカレ群の計算ノート

私が Pierre Ramond ”Field Theory A Modern Primer” §1.3 の ”The Poincaré Group” を読んだときにやった計算を載せていく. 文字の定義 P:平行移動の生成子・運動量 L:軌道角運動量 M:ローレンツ変換の生成子 W:パウリ- ルバンスキーベクトル 目次 文…

エルミート多項式の母関数と漸化式の導出

エルミート多項式 Hn(ξ) (n ≥ 0) は,以下の式を満たす. \begin{align} \sum_{n=0}^{\infty} \frac{H_n(\xi)}{n!} t^n &= e^{-t^2 + 2\xi t} =: S(\xi,t) \label{eq:bo}\\ H'_n(\xi) &= 2nH_{n-1} (\xi) \label{eq:'}\\ H_{n+1}(\xi) &= 2\xi H_n(\xi) -2nH…

1次元調和振動子のシュレディンガー方程式をエルミート多項式で書き下す

量子力学演習シリーズ ある固定した中心に向かって,その中心からの粒子の変位に比例した力を粒子が受ける場合を考える.その時のポテンシャルは V(x) = mω2 x2 /2 で表され,このようなポテンシャルに従う系を調和振動子系という.(ω は角振動数) この系…

1次元有限井戸型ポテンシャル中の粒子の波動関数のパリティ

量子力学の演習問題シリーズ 次の1次元ポテンシャル中の粒子を考える. \begin{equation} V(x) = \begin{cases} -V_0 / 2a & |x| a \end{cases} \end{equation} ただし粒子のエネルギー固有値 E を, - V0 / 2a < E < 0 , V0 > 0 , a > 0 とする.ポテンシ…

2次元球面 S² のKillingベクトル場の導出

半径が a の2次元球面 S2 の計量は ds2 = a2( dθ2 + sin2θ d$\phi$2 ) a:定数,0 ≤ θ ≤ π ,0 ≤ $\phi$ である. この空間のKillingベクトル場は \begin{align} K_1 &= \frac{\partial}{\partial \phi} \label{eq:K1} \\ K_2 &= \cos \phi \frac{\partial}{…

ミンコフスキー時空のペンローズ図を描く

時空の大域的な構造を図示するために,無限に広がる曲がった時空を共形的に変形して平面の有限領域に写して考える方法がある.それをペンローズ図(または共形図)とよぶ. ここではミンコフスキー時空のペンローズ図を描こう.因果関係を見るために時間座標…

球対称な時空の計量の微分形式を用いた導出

あるまとまった領域に質量 m と電荷 Q が存在し,その周りに球対称な部分空間が形成された時空の計量は \begin{equation} ds^2 = - \left(1- \frac{2m}{r} +\frac{Q^2}{r^2} - \frac{1}{3}\Lambda r^2 \right)dt^2 +\left(1- \frac{2m}{r} +\frac{Q^2}{r^2} …

ポテンシャルの存在しない空間における1次元自由粒子のシュレディンガー方程式

ポテンシャルの存在しない ( V(x,t) = 0 ) 空間における1次元自由粒子について考える. 目次 シュレディンガー方程式の変数分離 定常解 確率密度と確率流密度 分散関係 シュレディンガー方程式の変数分離 V = 0 のときのシュレディンガー方程式は \begin{equ…

運動量演算子の固有関数の正規直交性と完全性

運動量演算子 $-i\hbar \frac{d}{dx}$ の性質を述べる. 目次 固有値方程式と固有関数 離散固有値 直交性 完全性 固有値方程式と固有関数 k を任意の定数として,微分方程式 \begin{equation} -i\hbar \frac{d \psi(x)}{dx} = \hbar k \psi (x) \end{equatio…

ポテンシャル V 中の粒子の確率密度に関する連続の式(微分形・積分形)の導出と確率密度・確率流密度の物理的意味

目次 問題 (a)の解答 (b)の解答 (c)の解答 問題 ポテンシャル V(r , t) 中の粒子の状態を記述するシュレーディンガー方程式を \[i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (\boldsymbol{r},t) = \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2+V(\boldsymbol{r},t) \rig…

水素原子の基底状態のエネルギーと半径の長さの古典的概算

問題 水素原子が半径 $r_0$ の球と考える.電子の位置の不確定さが $r_0$ 程度で,$r_0$ と運動量の不確かさ $p_0$ の積 $r_0 p_0$ が最小になる基底状態を考えると、不確定性原理より運動量の不確定さは $\hbar / r_0$ 程度ということになる.電子の持つエ…

1000ボルトで加速した電子の位置と運動量の測定不確定性

問題 1000ボルトで加速した電子の位置 x と運動量 p を,同時に測定することを考える.位置の精度を 10-10 m で測定できたならば,運動量成分は何パーセント程度の測定となるか. 解答 電子の持つエネルギーは eV [J] である.(e:電荷素量.V = 1000) ポ…

ガウス波束の運動量表示とその不確定性

問題 ガウス波束の不確定性(位置と運動量のゆらぎの積)の計算 - 哲数物を学ぶ 上の記事の問題の設定において,運動量の確率密度を求め,図示せよ.位置と運動量の確率密度の幅から,不確定性関係を考察せよ. 解答 運動量固有状態の位置表示波動関数 \begi…

ガウス波束の不確定性(位置と運動量のゆらぎの積)の計算

目次 問題 (a) の解答 (b) の解答 (c) の解答 問題 1次元の自由な空間で,つぎの波動関数(波束)が定義されているとする. \[\psi (x) = A \exp [- \frac{x^2}{2\sigma^2} + ikx ] \] (a) この波動関数における位置の確率密度を求め,全空間で積分した結果が …

エルミート演算子の不確定性関係の証明

命題 補題 補題1・Schwarzの不等式 補題2・エルミート演算子の期待値は実数である. 補題3・反エルミート演算子の期待値は純虚数である. 命題の証明 例・位置と運動量の不確定性関係 $\require{cancel}$ 命題 エルミート演算子 $\hat{A}$,$\hat{B}$ とそ…

エルミート演算子の固有値は実数であることの証明

命題 (a) エルミート演算子の固有値は実数である. (b) 1つのエルミート演算子の異なる固有値に対応する固有状態は互いに直交する. (a)の証明 あるエルミート演算子 $\hat{A}$ に対して,その固有状態を $|a_i \rangle$ ,固有値を複素数 $a_i $ とする(添…

位置演算子と運動量演算子はエルミート演算子であることの証明

命題 ある関数 $\psi(x)$,$\phi(x)$ が実数 $x$ のすべての領域で定義されており,境界条件 \begin{equation} \lim_{x \to \pm \infty} \psi(x) = 0 \ , \ \ \ \lim_{x \to \pm \infty} \phi(x) = 0 \end{equation} をみたすものとする.このとき,位置演算…

状態ベクトルの三角不等式の証明

問題 二つの状態ベクトル $|A \rangle $,$|B \rangle$ の長さについての三角不等式 $$||A \rangle + |B \rangle | \leq ||A \rangle | + ||B \rangle |$$ を証明せよ. Schwarzの不等式 $$|\langle A|B \rangle| \leq ||A \rangle | \cdot ||B \rangle |$$ …

時間に依存しない,縮退がある時の摂動まとめ

時間に依存しない,縮退がある時の摂動論の問題設定と計算方法をまとめる. 問題 方法 結果(エネルギー固有値の1次の摂動について) 問題 問題は縮退がない場合と同じである.→ http://oviskoutar.hatenablog.com/entry/2017/09/27/124420 非摂動ハミルト…

時間に依存しない,縮退のない摂動まとめ

時間に依存しない,非縮退な摂動論の問題設定と計算方法をまとめる. 問題 方法 結果(1次と2次について) 問題 非摂動ハミルトニアン $\hat{H}_0$ と摂動ポテンシャル $\hat{V}$ と微小パラメータ $\lambda$ によって $$\hat{H}=\hat{H}_0+ \lambda \hat{V}…

1次元イジング模型はマルコフ連鎖確率過程をなす

設定と表記方法 証明 参考文献 設定と表記方法 最近接相互作用のみを持つ1次元イジング模型を考える.この系のハミルトニアンを \begin{equation} H(\sigma_1 , \sigma_2 , \cdots , \sigma_N)=-J\sum^N_{i=1}\sigma_{i} \sigma_{i+1}-H\sum_{i=1}^N \sigma…

位置または運動量演算子とそれら一方に関する関数との交換関係の公式

3次元位置演算子 ${\hat {\bf x}}$ と運動量演算子 ${\hat {\bf p}}$ とそれらに関する関数 $F({\hat {\bf x}})$,$G({\hat {\bf p}})$ について以下の交換関係が成り立つ. $$\begin{eqnarray} [\hat{x}_i ,G({\hat{{\bf p}}})] &=& &i\hbar \frac{\partia…

円上に束縛された粒子の運動量演算子の極座標表示

xy平面上の半径 $R$ の円上に束縛された粒子を考える. このとき粒子の持つ運動量 $p$ は方位角 成分のみを持ち,軌道角運動量の $z$ 成分 $L_z$ は である. よってこの系での運動量演算子 $p$ の極座標表示は となる. 以下に簡単な図を載せる. 軌道角運…

ガンマ行列と4元運動量の内積の2乗は静止質量の二乗になる

の証明 \begin{eqnarray} (\gamma\cdot p)^{2} &=& \gamma^{\mu} p_{\mu} \gamma^{\nu} p_{\nu} \\ &=& \gamma^{\mu} \gamma^{\nu} \frac{1}{2} (p_\mu p_\nu + p_\nu p_\mu) \\ &=& \frac{1}{2} \left\{\gamma^{\mu} \gamma^{\nu} p_\mu p_\nu + (2g^{\mu \…

『理論電磁気学』第8章§7電磁波の散乱 を読んだ

理論電磁気学』著.砂川重信 1999年 の第8章§7 電磁波の散乱 を読んだ . あるモノに電磁波が衝突すると何らかの影響(境界条件など)を与えられ電磁波の散乱現象が起きる.そんな電磁波の障害物のようなモノを散乱体という.電磁波によって散乱の影響が拡大…

『理論電磁気学』第8章§6電磁波の回折 を読んだ

『理論電磁気学』著.砂川重信 1999年 の第8章§6 電磁波の回折 を読んだ 波動の回折現象といえば,Huygensの原理である.波面上の各点から発する球面素元波の包絡面が次の新たな波面を作るという直感的にもわかりやすい原理である.しかし,球面素元波を考え…

理論電磁気学(砂川重信) 第8章 電磁波

p185から電磁波の話。まずは真空中から。電荷と電流がないとして。Maxwell方程式を解く。 方程式の形は結局は波動方程式になる。ベクトルポテンシャルをAとすると。□A=0。 解を平面波としてもとめる。偏りは2つの波動の複素振幅の位相差によって直線的、円形…