三浦と窮理とブログ

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位相的性質・ハウスドルフ性 についての例題

位相空間のハウスドルフ性についての例題を解いたので解答を載せていきます.

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目次

定義

位相空間 $ X $ がハウスドルフ空間である.

$ \Updownarrow $ def

$ X $ 上の任意の異なる2点 $ p,q \in X $ に対して,2つの開集合

\begin{equation} U,V ~\mathrm{s.t.}~ p\in U , q \in V , U \cap V = \emptyset \end{equation}

が存在する.

対偶

位相空間 $ X $ がハウスドルフ空間ではない

$X$ 上のとある異なる2点 $p,q$ に対して,$p$ を含む任意の開集合 $U$ と $q$ を含む任意の開集合 $V$ が $U \cap V \ne \emptyset$ を満たす.

ハウスドルフ空間ではない位相空間の例

3点集合 $ X= \{a,b,c\} $ を考える.

$ X $ の2通りの位相を次のように定める.

\begin{align} \mathcal { O } _ 1 &= \{ \emptyset , \{ a \} , \{ b , c \} , X \} \\ \mathcal { O } _ 2 &= \{ \emptyset , \{ a \} , \{ b \} , \{ a , b \} , \{ a , c \} , X \} \end{align}

この2通りの位相空間 $ (X,\mathcal{ O } _ 1) $ と $ (X,\mathcal{ O } _ 2) $ はどちらもハウスドルフ空間ではない.

なぜなら, $ (X,\mathcal{ O } _ 1) $ に対しては,点 $ b $ を含む開集合は全部で $ \{b,c\} $ と $ X $ であり,点 $ c $ を含む開集合も全部で $ \{b,c\} $ と $ X $ であるからである.

$ (X,\mathcal{ O } _ 2) $ に対しては,点 $ c $ を含む開集合は全部で $ \{a,c\} $ と $ X $ であり,点 $ a $ を含む開集合は全部で $ \{a\} , \{ a , b \} , \{a,c\} , X $ であるからである.

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▶Tikzコード

ハウスドルフ空間の部分位相空間はハウスドルフ空間である.

ハウスドルフ位相空間 $ (X,\mathcal{ O }) $ とその部分位相空間 $ (A,\mathcal{ O } _ A) $ を考える.

任意の点 $ p,q \in A \subset X$ に対して, $ X $ のハウスドルフ性より

\begin{equation} U,V\in \mathcal{ O } ~\mathrm{s.t.}~ p \in U, q \in V , U \cap V = \emptyset \end{equation}

が存在する.

この $ U,V $ を用いて, $ p $ を含む開集合 $ A\cap U \in \mathcal{ O } _ A $ と $ q $ を含む開集合 $ A \cap V \in \mathcal{ O } _ A $ を考えると,

\begin{equation} (A\cap U) \cap (A \cap V) = A \cap (U \cap V) = A \cap \emptyset = \emptyset \end{equation}

である.

よって $ (A,\mathcal{ O } _ A) $ はハウスドルフ空間である.

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▶Tikzコード

ハウスドルフ空間の3点を分離する開集合が存在する

位相空間 $ X $ がハウスドルフ空間であるとする. $ X $ 上の互いに異なる3点 $ x _ 1,x _ 2,x _ 3 $ を考える. このとき, $ X $ の開集合 $ W _ i ~(i=1,2,3) $ で,条件

\begin{equation} x _ i \in W _ i かつ W _ i \cap W _ j = \emptyset ~(i\ne j) \label{eq:39haus} \end{equation}

を満たすものが存在する.


$ W _ i ~(i=1,2,3) $ の構成方法

$ X $ はハウスドルフ空間なので,2点 $ x _ 1,x _ 2 $ に対して, $ X $ の開集合

\begin{equation} A _ 1,A _ 2 ~\mathrm{s.t.}~ x _ 1 \in A _ 1 , x _ 2 \in A _ 2 , A _ 1 \cap A _ 2 = \emptyset \end{equation}

が存在する.同様に2点 $ x _ 1,x _ 3 $ に対しても $ X $ の開集合

\begin{equation} B _ 1,B _ 3 ~\mathrm{s.t.}~ x _ 1 \in B _ 1 , x _ 3 \in B _ 3 , B _ 1 \cap B _ 3 = \emptyset \end{equation}

が存在する.さらに同様に2点 $ x _ 2,x _ 3 $ に対しても $ X $ の開集合

\begin{equation} C _ 2,C _ 3 ~\mathrm{s.t.}~ x _ 2 \in C _ 2 , x _ 3 \in C _ 3 , C _ 2 \cap C _ 3 = \emptyset \end{equation}

が存在する.

そして,

\begin{align} W _ 1 &:= A _ 1 \cap B _ 1 \\ W _ 2 &:= A _ 2 \cap C _ 2 \\ W _ 3 &:= B _ 3 \cap C _ 3 \end{align}

は\eqref{eq:39haus}を満たす.

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A2 と B3 は交わる場合も考えられる.

▶Tikzコード

ハウスドルフ空間の収束列の極限点の一意性

位相空間 $ (X,\mathcal{ O }) $ がハウスドルフ空間ならば, $ X $ 内に収束する任意の点列 $ \{a _ n\} _ {n\in \mathbb{N}} $ に対して,その極限点は唯1つである.


証明

点列 $ \{a _ n\} _ {n\in \mathbb{N}} $ の2つの極限点 $ a _ 1,a _ 2 \in X$ に対し, $ a _ 1\ne a _ 2$ と仮定する.

$ X $ はハウスドルフ空間なので,

\begin{equation} U _ 1, U _ 2 \in \mathcal{ O } ~\mathrm{s.t.}~ a _ 1 \in U _ 1 , a _ 2 \in U _ 2 , U _ 1 \cap U _ 2 = \emptyset \end{equation}

が存在する.

一方, $ a _ 1 $ は点列 $ \{a _ n\} _ {n\in \mathbb{N}} $ の極限点なので, $ a _ 1 $ を含む任意の開集合 $ V _ 1 $ に対して,自然数

\begin{equation} N _ 1 ~\mathrm{s.t.}~ n> N _ 1 \Rightarrow a _ n \in V _ 1 \end{equation}

が存在する. 同様に, $ a _ 2 $ を含む任意の開集合 $ V _ 2 $ に対して,自然数

\begin{equation} N _ 2 ~\mathrm{s.t.}~ n> N _ 2 \Rightarrow a _ n \in V _ 2 \end{equation}

が存在する.すなわち,

\begin{equation} n > \max\{N _ 1,N _ 2\} \Rightarrow a _ n \in V _ 1 かつ a _ n \in V _ 2 \end{equation}

である.よって $ V _ 1 \cap V _ 2 \ne \emptyset $ である.

$ a _ 1,a _ 2 $ をそれぞれ含む任意の開集合 $ V _ 1,V _ 2 $ について $ V _ 1 \cap V _ 2 \ne \emptyset $ が成り立つという事実は, $ U _ 1 \cap U _ 2 = \emptyset $ と矛盾する.

よって $ a _ 1 = a _ 2 $ である.すなわち,点列 $ \{a _ n\} _ {n\in \mathbb{N}} $ の極限点は唯1つである.