三浦ノート

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『証明と論理に強くなる』を読んだ

『証明と論理に強くなる』 著:小島寛之 2017年

証明と論理に強くなる  ~論理式の読み方から、ゲーデルの門前まで~ (知の扉)

証明と論理に強くなる ~論理式の読み方から、ゲーデルの門前まで~ (知の扉)

を読んだ.

高校数学で習う範囲の中で「証明と論理」は他の単元と比べて少し異色な雰囲気を感じる人がいるのではないか.公式を使って計算して値を決定する問題が大半の中,この「証明と論理」の単元では何かただの言葉遊びをしているだけでよくわからない.そして感覚でなんとなく答えを決めてしまう.そのような人に対してこの本は書かれている. 論理学や証明法の基礎の部分をしっかり解説してくれていて,この本を読めばそれらの理解が深まるだろう.

私は論理学を本格的に学んだことはなかったので,この本の内容は新鮮に感じた.論理記号として「かつ」「ならば」「でない」の三つはよく知っていて間違うことなく使えるのだが.「ならば」に関してはその真理値からして初めて知り,とても奥が深いなと感じた.「「aならb」ならばc」と「aならば「bならばc」の二つは意味が異なり,「ならば」には結合則が成り立たないこと.「aならばb」と「aでない,かつb」は同値であること.などは私は今まで意識したこともなかったし,言われてみれば確かにそうだし面白いなと思った.また,数学ではとても基本的な数式でもその意味を考えだしたらなかなか深みにはまってしまうことがあるが,どちらかというと意味よりも先にその計算規則があるという考えの方が精神的に健康に数学の勉強ができるなとこの本を読んで感じた.