目次
記法
K(0) は単体複体 K に含まれる0-単体(頂点)の集合.
|K| は単体複体 K をRm 上の部分集合として見たもの.すなわち $|K| = {\displaystyle \bigcup_{\sigma \in K} \sigma}$ .
σ° は単体 σ の内部.
σ・は単体 σ の境界.
σ が τ の辺単体であることは σ ≼ τ と表す.(σ が τ の真の辺単体であることは σ ≺ τ で表す.)
st(v) は閉星状体 := ${\displaystyle \left(\bigcup_{v \in \sigma \in K} \sigma \right)} $ ⊂ K ▶クリックで閉星状体のイメージ図を開く
詳しい定義は参考 *1 にしたがっている.
定義
位相空間が連結である.
位相空間 X がどちらも閉集合(またはどちらも開集合)である2つの部分集合 A , B (≠∅) で X = A ∪ B と表されるならば,A ∩ B ≠ ∅ であるとき,X は連結であるという.
これは,連結な位相空間は閉集合同士(または開集合同士)で分離できないという性質である.参考 *2
位相空間が弧状連結である.
位相空間 X 上の任意の2点を結ぶ孤が X 上に存在するとき,その位相空間 X を弧状連結であるという.
単体複体が連結である.
単体複体 K の任意の2つの頂点 v , v' に対し,有限の長さの K の頂点列 v = v1 , v2 , … , vk = v' s.t.〈vi , vi+1〉∈ K , (1 ≤ i ≤ k-1 ) が存在するとき,この単体複体 K は連結であるという.
これは複体上の任意の2つの頂点をその複体上の1-単体で結ぶことができるという性質である.
補題
命題
証明
K が複体として連結である. ⇒ |K| は位相空間として連結である.
一般に集合が弧状連結ならば連結なので,「単体複体 K が連結である. ⇒ 位相空間 |K| は弧状連結である」ことを示せばよい.
任意の2点 x , y ∈ |K| を結ぶ孤を構成しよう.
x , y が K の頂点であるかどうかに関して以下の3つの場合に分けて考えよう.
(b) x と y のどちらか一方が K の頂点である.
(c) x と y のどちらも K の頂点にない.
(a) の場合
単体複体としての連結性より,K の頂点列 x = v1 , v2 , … , vk = y s.t.〈vi , vi+1〉∈ K が存在する.
そして ${\displaystyle\bigcup_{i=1}^{k-1} \langle v_i,v_{i+1} \rangle}$ は x と y を結ぶ |K| 上の孤となっている.
(b) の場合
ここでは x が K の頂点ではなく,y が K の頂点である場合を考える.逆の場合も同様に孤を構成できる.
補題より σ ∈ K s.t. x ∈ σ° が1つ存在する.そして σ のとある頂点 v を選ぶ.
x ∈ σ° より x ≠ v なので,x と v は一般の位置にあり,1-単体 〈x ,v〉⊂σ を構成できる.
2つの K の頂点 v と y に対して,K の単体複体としての連結性より,K の頂点列 v = v1 , v2 , … , vk = y s.t.〈vi , vi+1〉∈ K が存在する.
そして ${\displaystyle \langle x,v \rangle \cup \left(\bigcup_{i=1}^{k-1} \langle v_i,v_{i+1} \rangle \right)}$ は x と y を結ぶ |K| 上の孤となっている.
(c) の場合も同様に孤を構成できる.
K が複体として連結である. ⇐ |K| は位相空間として連結である.
方針:位相空間としての連結性より,とある頂点は孤立せず,かならず隣の頂点が単体複体に存在することから,頂点列を探していく.来た道は戻らないように次の頂点を探すことで,頂点の取り方が全部で有限通りになるようにする. 終点も与えられているので,終点への方向性をある程度もって探していく.
∀ v , v' ∈ K(0) (v ≠ v') に対して,$|K| = {\displaystyle \bigcup_{\sigma \in K} \sigma} $ は位相空間として連結なので,$ {\displaystyle v \cup \left(\bigcup_{\sigma \in K-\{\langle v \rangle \}} \sigma \right) \neq \emptyset}$ である.
よって,v を含む単体が K - {〈v〉} に存在し,それらの和集合 st(v) を考える .
v' ∈ st(v) の場合は1-単体〈v , v’〉∈ K が得られて終了.
v' ∉ st(v) の場合は,次の頂点 v2 を ( K - st(v) ) ∩ st(v) の中から探そう.
K - st(v) は2つの部分に分離している場合もあるので,v' を含む部分を選ぶ.この選ばれた単体複体を K2 とおく.(i.e. v' ∈ K2)(分離していない場合はそのまま K2 = K - st(v) ) ▶クリックで K2 を選ぶイメージ図を開く
K2 ∩ st(v) から v2 を選ぶ.(i.e. 〈v , v2〉∈ K )
|K2| も位相空間として連結なので,$ {\displaystyle v_2 \cup \left(\bigcup_{\sigma \in K_2 -\{\langle v_2 \rangle \}} \sigma \right) \neq \emptyset}$ である.
よって,v2 を含む単体が K2 - {〈v2〉} に存在し,それらの和集合 st(v2) を考える .
v' ∈ st(v2) の場合は1-単体〈v2 , v’〉∈ K が得られて終了.
v' ∉ st(v2) の場合は,次の頂点を ( K - st(v2) ) ∩ st(v2) の中から先ほどと同様に探す.
以上をくりかえし,目的の頂点列 v = v1 , v2 , … , vk = v' s.t.〈vi , vi+1〉∈ K , (1 ≤ i ≤ k-1 ) が得られる.
K は単体の有限集合なのでこの頂点列は必ず見つかる.
参考文献
*1:
*2: