三浦と窮理とブログ

自然科学のことや自分の経験や考えたことについて書いていきます.誰かの役に立てれば幸いです.

ポアンカレ群の計算ノート

私が Pierre Ramond ”Field Theory A Modern Primer” §1.3 の ”The Poincaré Group” を読んだときにやった計算を載せていく. 文字の定義 P:平行移動の生成子・運動量 L:軌道角運動量 M:ローレンツ変換の生成子 W:パウリ- ルバンスキーベクトル 目次 文…

エルミート多項式の母関数と漸化式の導出

エルミート多項式 Hn(ξ) (n ≥ 0) は,以下の式を満たす. \begin{align} \sum_{n=0}^{\infty} \frac{H_n(\xi)}{n!} t^n &= e^{-t^2 + 2\xi t} =: S(\xi,t) \label{eq:bo}\\ H'_n(\xi) &= 2nH_{n-1} (\xi) \label{eq:'}\\ H_{n+1}(\xi) &= 2\xi H_n(\xi) -2nH…

1次元調和振動子のシュレディンガー方程式をエルミート多項式で書き下す

量子力学演習シリーズ ある固定した中心に向かって,その中心からの粒子の変位に比例した力を粒子が受ける場合を考える.その時のポテンシャルは V(x) = mω2 x2 /2 で表され,このようなポテンシャルに従う系を調和振動子系という.(ω は角振動数) この系…

1次元有限井戸型ポテンシャル中の粒子の波動関数のパリティ

量子力学の演習問題シリーズ 次の1次元ポテンシャル中の粒子を考える. \begin{equation} V(x) = \begin{cases} -V_0 / 2a & |x| a \end{cases} \end{equation} ただし粒子のエネルギー固有値 E を, - V0 / 2a < E < 0 , V0 > 0 , a > 0 とする.ポテンシ…

2次元球面 S^2 のKillingベクトル場の導出

半径が a の2次元球面 S2 の計量は ds2 = a2( dθ2 + sin2θ d$\phi$2 ) a:定数,0 ≤ θ ≤ π ,0 ≤ $\phi$ である. この空間のKillingベクトル場は \begin{align} K_1 &= \frac{\partial}{\partial \phi} \label{eq:K1} \\ K_2 &= \cos \phi \frac{\partial}{…

ミンコフスキー時空のペンローズ図を描く

時空の大域的な構造を図示するために,無限に広がる曲がった時空を共形的に変形して平面の有限領域に写して考える方法がある.それをペンローズ図(または共形図)とよぶ. ここではミンコフスキー時空のペンローズ図を描こう.因果関係を見るために時間座標…

フラクトゥーア(ドイツ文字)の発音・手書きの Anki 単語帳

フラクトゥーア (ドイツ文字)の発音と手書きを覚えるためにAnki単語帳を作った. 公開ページ → Fraktur pronunciation&handwriting - AnkiWeb カードの構成 表面 LaTeXを使ってフラクトゥーアの各文字を表示する. 裏面 対応したRoman アルファベット 発音…

位相幾何学の記法まとめ

本ブログでの位相幾何学について述べられているページでの記法をまとめる. 主に参考 *1 にしたがっている. 単体ホモロジー K(0) は単体複体 K に含まれる0-単体(頂点)の集合. |K| は単体複体 K をRm 上の部分集合として見たもの.すなわち $|K| = {\displ…

球対称な時空の計量の微分形式を用いた導出

あるまとまった領域に質量 m と電荷 Q が存在し,その周りに球対称な部分空間が形成された時空の計量は \begin{equation} ds^2 = - \left(1- \frac{2m}{r} +\frac{Q^2}{r^2} - \frac{1}{3}\Lambda r^2 \right)dt^2 +\left(1- \frac{2m}{r} +\frac{Q^2}{r^2} …

MathJax で \pounds コマンドを定義する.

MathJaxではLaTeXにおける\poundsがデフォルトでは入力できないのでunicode入力を使ってマクロを定義してしまおう. \poundsコマンドを使いたいページのはじめに $\def\pounds{{\\it\\unicode{xA3}}}$ を入力すればよい. またはヘッダーにあるMathJaxのマク…

単体複体としての連結性と位相空間としての連結性が同値であることの証明

目次 記法 定義 位相空間が連結である. 位相空間が弧状連結である. 単体複体が連結である. 補題 命題 証明 K が複体として連結である. ⇒ |K| は位相空間として連結である. K が複体として連結である. ⇐ |K| は位相空間として連結である. 記法 K(0) は…

ポテンシャルの存在しない空間における1次元自由粒子のシュレディンガー方程式

ポテンシャルの存在しない ( V(x,t) = 0 ) 空間における1次元自由粒子について考える. 目次 シュレディンガー方程式の変数分離 定常解 確率密度と確率流密度 分散関係 シュレディンガー方程式の変数分離 V = 0 のときのシュレディンガー方程式は \begin{equ…

運動量演算子の固有関数の正規直交性と完全性

運動量演算子 $-i\hbar \frac{d}{dx}$ の性質を述べる. 目次 固有値方程式と固有関数 離散固有値 直交性 完全性 固有値方程式と固有関数 k を任意の定数として,微分方程式 \begin{equation} -i\hbar \frac{d \psi(x)}{dx} = \hbar k \psi (x) \end{equatio…

ポテンシャル V 中の粒子の確率密度に関する連続の式(微分形・積分形)の導出と確率密度・確率流密度の物理的意味

目次 問題 (a)の解答 (b)の解答 (c)の解答 問題 ポテンシャル V(r , t) 中の粒子の状態を記述するシュレーディンガー方程式を \[i\hbar \frac{\partial}{\partial t} \psi (\boldsymbol{r},t) = \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2+V(\boldsymbol{r},t) \rig…

beamerで水平線に色を付けるためxcolorパッケージのオプションを指定しようとしたがbeamerと競合したので気をつけよう

経緯と問題 beamer を使ってポスターを作っているとき,\hruleで引く水平線に色を付けたいと思った. そこで調べると,xcolorパッケージでオプションを選ぶと指定できる色の種類が増えることを知った.*1 そこでプリアンブルに\usepackage[x11names]{xcolor}…

水素原子の基底状態のエネルギーと半径の長さの古典的概算

問題 水素原子が半径 $r_0$ の球と考える.電子の位置の不確定さが $r_0$ 程度で,$r_0$ と運動量の不確かさ $p_0$ の積 $r_0 p_0$ が最小になる基底状態を考えると、不確定性原理より運動量の不確定さは $\hbar / r_0$ 程度ということになる.電子の持つエ…

1000ボルトで加速した電子の位置と運動量の測定不確定性

問題 1000ボルトで加速した電子の位置 x と運動量 p を,同時に測定することを考える.位置の精度を 10-10 m で測定できたならば,運動量成分は何パーセント程度の測定となるか. 解答 電子の持つエネルギーは eV [J] である.(e:電荷素量.V = 1000) ポ…

ガウス波束の運動量表示とその不確定性

問題 ガウス波束の不確定性(位置と運動量のゆらぎの積)の計算 - 哲数物を学ぶ 上の記事の問題の設定において,運動量の確率密度を求め,図示せよ.位置と運動量の確率密度の幅から,不確定性関係を考察せよ. 解答 運動量固有状態の位置表示波動関数 \begi…

ガウス波束の不確定性(位置と運動量のゆらぎの積)の計算

目次 問題 (a) の解答 (b) の解答 (c) の解答 問題 1次元の自由な空間で,つぎの波動関数(波束)が定義されているとする. \[\psi (x) = A \exp [- \frac{x^2}{2\sigma^2} + ikx ] \] (a) この波動関数における位置の確率密度を求め,全空間で積分した結果が …

「準同型写像 f が単射である」ことと「 Ker f = {0} 」は同値であることの証明

2つの群 X,Y について, 準同型写像 f : X → Y は単射 ⇔ Ker f = {0} (0 は 単位元) を示そう. 目次 f は単射 ⇒ Ker f = {0} の証明 Ker f = {0} ⇒ f は単射 の証明 f は単射 ⇒ Ker f = {0} の証明 f の準同型性より,∀x ∈ X に対し,f(x) = f(x+0) = f…

相加・相乗平均の不等式はグラフも一緒に見て記憶に残しやすくしましょう

相加・相乗平均の3次元グラフを描く.描画ソフトはgeogebraを用いる. 相加・相乗平均の不等式 実数 $a , b \geq 0$ に対し,$\displaystyle \frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}$ が成り立つ.等号条件は $a=b$ である. $\displaystyle \frac{a+b}{2}$ と $\sqrt…

はてなブログでsvg画像を表示する方法

ブログ内で画像をきれいに表示したいと思ったので,ベクター形式であるsvg画像を貼る方法を調べたのでそのメモです. 基本的にはHTML上でのsvgファイルの表示方法を使うだけです. svgファイルをテキストエディタで開いて <svg> ... </svg> の部分をコピペすれば表示で…

ディラックのデルタ関数 $\delta (x)$ に普通の関数が入力されているときのふるまい

命題 ディラックのデルタ関数 $\delta(x)$ について以下の公式が成り立つ. 公式(a) \begin{equation} \displaystyle \delta \left((x-a)(x-b) \right)=\frac{1}{|a-b|} [\delta (x-a)+\delta(x-b)] ,a \neq b \end{equation} 公式(b) 方程式 f(x) = 0 に対…

ベイカー・キャンベル・ハウスドルフの公式の証明

量子力学でよく用いられるベイカー・キャンベル・ハウスドルフの公式(Baker–Campbell–Hausdorff formula)を示そう. 命題 演算子 $\hat{A},\hat{B}$ に対して次の2つが成り立つ. (a) 実数 $t$ に対して $\hat{B}(t) \equiv \exp(t\hat{A})\hat{B}\exp(-t\ha…

Powerpointでtexの数式をベクター画像(.emf)で挿入できるアドインの紹介(IguanaTex)

動作環境 powerpoint2016 IguanaTeX v1.55 powerpointでTeXの数式をベクター画像で挿入することができるアドインがある. IguanaTexというアドインである. 以下のHPから.ppamをダウンロードできる. IguanaTex - A Free Latex Add-In for PowerPoint on Win…

MathJaxで数式の上から斜線で取り消し線を引く方法(\cancelコマンドの読み込み方)

Latexで数式の上から斜線の取り消し線を引くには\cancelコマンドを用いればよいのだが,MathJaxでは標準では実装されておらず,cancel.jsを前もって読み込む必要がある. 方法 1.ヘッダーの中のMathJaxの設定のブロックにTeX: { extensions: ["cancel.js"] }…

エルミート演算子の不確定性関係の証明

命題 補題 補題1・Schwarzの不等式 補題2・エルミート演算子の期待値は実数である. 補題3・反エルミート演算子の期待値は純虚数である. 命題の証明 例・位置と運動量の不確定性関係 $\require{cancel}$ 命題 エルミート演算子 $\hat{A}$,$\hat{B}$ とそ…

エルミート演算子の固有値は実数であることの証明

命題 (a) エルミート演算子の固有値は実数である. (b) 1つのエルミート演算子の異なる固有値に対応する固有状態は互いに直交する. (a)の証明 あるエルミート演算子 $\hat{A}$ に対して,その固有状態を $|a_i \rangle$ ,固有値を複素数 $a_i $ とする(添…

位置演算子と運動量演算子はエルミート演算子であることの証明

命題 ある関数 $\psi(x)$,$\phi(x)$ が $x$ のすべての領域で定義されており,境界条件 \begin{equation} \lim_{x \to \pm \infty} \psi(x) = 0 \ , \ \ \ \lim_{x \to \pm \infty} \phi(x) = 0 \end{equation} をみたすものとする.このとき,位置演算子 $…

状態ベクトルの三角不等式の証明

問題 二つの状態ベクトル $|A \rangle $,$|B \rangle$ の長さについての三角不等式 $$||A \rangle + |B \rangle | \leq ||A \rangle | + ||B \rangle |$$ を証明せよ. Schwarzの不等式 $$|\langle A|B \rangle| \leq ||A \rangle | \cdot ||B \rangle |$$ …