三浦と窮理とブログ

主に自然科学について自分が勉強してきたことについて書いていきます.誰かの役に立ってくれれば嬉しいです.

エルミート演算子の固有値は実数であることの証明

命題

(a) エルミート演算子固有値は実数である.

(b) 1つのエルミート演算子の異なる固有値に対応する固有状態は互いに直交する.

(a)の証明

あるエルミート演算子 $\hat{A}$ に対して,その固有状態を $|a_i \rangle$ ,固有値複素数 $a_i $ とする(添え字 $i$ は0を含む自然数).すなわち $i$ 番目の固有値方程式は $$\hat{A} |a_i \rangle = a_i |a_i \rangle \tag{1}$$ と表される.エルミート性より $\hat{A}^{\dagger} =\hat{A}$ なので,$j$ 番目の固有値方程式の両辺のエルミート共役をとると,

$$\langle a_j | \hat{A}=a_j^* \langle a_j| \tag{2}$$

となる.式(1)の両辺に左から $\langle a_j |$ をかけ,式(2)の両辺に右から $|a_i \rangle$ をかける.

\begin{eqnarray} \langle a_j | \hat{A} |a_i \rangle &=& a_i \langle a_j |a_i \rangle \tag{3} \\ \langle a_j | \hat{A} |a_i \rangle &=& a_j^* \langle a_j|a_i \rangle \tag{4} \end{eqnarray}

$(3)-(4)$ より, $$(a_i -a_j^{*})\langle a_j |a_i \rangle =0 \tag{5}$$ が成り立つ.$i=j$ のとき,$\langle a_i |a_i \rangle \neq 0 $ なので $a_i=a_i^{*}$ である.複素共役が不変なので $a_i$ は実数である.つまり,エルミート演算子固有値は実数であることが示された.

(b)の証明

エルミート演算子固有値が実数であることが先ほど示されたので $a_j^{*}= a_j$ である.よって $i \neq j$ のとき,$a_i - a_j^{*} = a_i - a_j \neq 0$ なので,式(5)より $\langle a_j |a_i \rangle = 0$ である.つまり,異なる固有値に対応する固有状態は直交する.