三浦ノート

自分の経験したことを検索可能にしていくブログ.誰かの役に立ってくれれば嬉しいです.

角運動量演算子の固有状態の直交性とスピン1での行列表示

角運動量演算子L²とLzとその固有状態|,m〉と昇降演算子L±に対し,この固有状態の直交性を示し,これらの演算子のl=1のときの行列表示を求める.

角運動量演算子の固有値が取ることができる値の導出

角運動量演算子L2,Lzの固有値が取ることのできる値を角運動量演算子の代数的性質から求める.l は正の半整数をとり,mは -l ≤m ≤ l となる.

角運動量演算子と昇降演算子

角運動量演算子 L²,Lz の固有状態 |l,m〉と昇降演算子 L± = Lx ± iLy について次が成り立つ. 昇降演算子は |l,m±1〉の状態を作る演算子であることが分かる.

角運動量演算子の交換関係の公式の導出

角運動量演算子 L = x × p とその大きさの2乗 L² は次の交換関係を満たす.εijkはレビチビタ記号.アインシュタインの総和記法を用いる.対称な添え字と反対称な添え字の縮約は0になることは以下のページで紹介している.

対称テンソルと反対称テンソルの縮約は0になることの証明

対称テンソルと反対称テンソルの縮約は0になることを示そう. 2階の対称テンソル Tij と2階の反対称テンソル Skl について,この2つの添え字の縮約を行う. 記法はアインシュタインの規約を用いる. Tij Sij = - Tji Sji = - Tij Sij (添え字を付け直した…

2次元等方調和振動子のハミルトニアンと角運動量演算子の生成消滅演算子による同時対角化

2次元等方調和振動子のハミルトニアン \begin{equation} \hat{ H } = \frac { 1 } { 2 m } ( {\hat{ p } _ { x }} ^ { 2 } + {\hat{ p } _ { y } }^ { 2 } ) + \frac { 1 } { 2 } m \omega ^ { 2 } ( \hat{ x } ^ { 2 } + \hat{ y } ^ { 2 } ) \end{equation…

3次元自由空間でのガウス波束の時間発展と期待値と分散

3次元自由空間でのガウス波束 \begin{equation} \psi ( \vec{x} , t = 0 ) = \langle \vec{ x } |\psi,0\rangle= \exp \left( - \frac { \alpha } { 2 } | \vec { x } | ^ { 2 } + \frac { i \vec { p } _ { 0 } \cdot \vec { x } } { \hbar } \right) \end{…

3次元非等方調和振動子の固有状態とエネルギー固有値

質量 m の粒子が3次元非等方調和振動子のポテンシャル \begin{equation} V ( x , y , z ) = \frac { m } { 2 } ( {\omega _ { x }} ^ { 2 } x ^ { 2 } +{ \omega _ { y }} ^ { 2 } y ^ { 2 } + {\omega _ { z } }^ { 2 } z ^ { 2 } ) \end{equation} 中を運…

直方体に閉じ込められた粒子の波動関数と縮退度

粒子が透過できない壁を持つ3辺の長さが x=a , y=b , z=c の直方体の箱に閉じ込められた質量 m の粒子を考える. ポテンシャルは \begin{align} V(\boldsymbol{x}) &= V(x) + V(y) + V(z) \\ V(x) &= \begin{cases}0&(0\le x \le a)\\\infty &(a \le x)\end{…

3次元定常シュレーディンガー方程式の変数分離

ポテンシャルが V( x1 , x2 , x3 ) = V1( x1 ) + V2( x2 ) + V3( x3 ) の形であるとき,時間に依存しないシュレディンガー方程式は次のように各座標成分について分離できる. \begin{align} &\psi ( x _ { 1 } , x _ { 2 } , x _ { 3 } ) = \psi _ { 1 } ( x…

1 次元自由粒子と調和振動子でのハイゼンベルク方程式

自由粒子系と調和振動子系において,ハイゼンベルク表示の位置演算子$ \hat{x}(t) $と運動量演算子$ \hat{p}(t) $の時間発展を求める. 1次元自由粒子 1次元の自由粒子の系を考える.ハミルトニアンはハイゼンベルク表示で$ \hat{H}(t) = \frac{\hat{p} ^ 2(…

井戸型ポテンシャル問題の平行移動後の固有値問題の等価性

次の2つの井戸型ポテンシャル V(x) ,V'(x) 中の質量 m の粒子について,固有値問題が等価であることを示す. \begin{align} V ( x ) &= \left\{ \begin{array} { l l } { 0 } & { ( x a ) } \\ { - V } & { ( 0 \frac { a } { 2 } \right) } \\ { - V } & { …

量子力学における並進演算子と運動量演算子について

位置演算子 $ \hat{x} $ と運動量演算子 $ \hat{ p } $ に対し,次の演算子 \begin{equation} \hat { G } _ { \epsilon } = \left( 1 + \frac { \hat { p } } { i \hbar } \epsilon \right) \end{equation} を定義する. ε は微小量である.位置演算子 $ \ha…

1次元調和振動子の生成消滅演算子による表示での位置演算子と運動量演算子の行列要素とエルミート多項式による表示との比較

前記事 www.k-pmpstudy.com の1次元調和振動子問題において,固有値 $ (n+\frac{1}{2})\hbar\omega $ に対する規格化された固有状態を $ |n\rangle $ と表すことにする. この $ |n\rangle $ に生成演算子 $ \hat{a} ^ \dagger $ を作用させると,固有値が1…

1次元調和振動子の生成消滅演算子による表示とハミルトニアンの固有値

1次元調和振動子のハミルトニアンは,運動量演算子 $ \hat{p} $ と座標演算子 $ \hat{x} $ を用いて \begin{equation} \hat { H } = \frac { \hat { p } ^ { 2 } } { 2 m } + \frac { m \omega ^ { 2 } \hat { x } ^ { 2 } } { 2 } \end{equation} のように…

正準変換は群をなすことのシンプレクティック表示による証明

目次 無限小正準変換はリー代数をなす ハミルトン方程式のシンプレクティック表示.正準変換の特徴付け. ポアソン括弧は正準変換で不変である 正準変換全体の集合は変換の合成を積として群をなす 無限小正準変換はリー代数をなす 相空間(q,p)上の物理量 f(q…

MathJaxで数式に色を付ける方法 (\textcolorコマンドの読み込み方)

MathJaxで数式に色を付ける場合は\textcolorコマンドを使えばよい. color.jsをインポートすることで使うことができるようになる. (2019年9月13日 追記:Mathjax 3.0 の場合,extension が自動で読み込まれるようになりましたので,\textcolorはすぐに使え…

latexで脚注の文字サイズを本文の文字サイズと同じにする方法

LaTeXで脚注の文字サイズを本文中のものと同じにするときはプリアンブルに以下を入力すればいい. \renewcommand{\footnotesize}{\normalsize} これは単純に文字サイズを指定するコマンドの\footnotesizeの設定を再定義しただけである. つまり,脚注とは関…

LaTeXで式参照のときに脚注にその数式を再表示するマクロ

LaTeXで式参照のときに脚注にその数式を再掲するマクロを調べて作った(ほぼコピぺだが).\repeatable{数式}{ラベル}で数式とラベルの登録.本文中で\repeatref{ラベル}で参照することでそのラベル付けされた数式を参照するページの脚注に再掲できる. 私が…

1次元調和振動子の位置と運動量の行列要素の計算 [PDFあり]

本記事のPDF版をBOOTHにて無料で公開しております.印刷して読みたい方など是非ご利用ください. 三浦と窮理とブログ--1 次元調和振動子の位置と運動量の行列要素の計算 - k-pmpstudy - BOOTH(同人誌通販・ダウンロード) 1次元調和振動子の波動関数はエル…

1次元調和振動子の波動関数の規格化と基底状態・第1励起状態の存在確率の計算

1次元調和振動子の波動関数はエルミート多項式を用いて $ \psi_n(\xi) = A_n H_n (\xi) e^{-\xi^2/2} $ と表せる.ここで,$ \xi =\sqrt{m\omega/\hbar} x $ ,$ A_n $ は規格化定数とする. ・規格化定数の決定 \begin{align} 1&= \int_{-\infty}^{\infty} …

U(1)ゲージ場の場の強さから作られる擬スカラー量の全微分形への変形

$ U(1) $ゲージ場の場の強さ $ F_{\mu\nu} = \partial_\mu A_\nu - \partial_\nu A_\mu $ から作られる擬スカラー量 $ \epsilon^{\mu\nu\rho\sigma} F_{\mu\nu}F_{\rho\sigma} $ に対し, \begin{equation} \epsilon^{\mu\nu\rho\sigma} F_{\mu\nu}F_{\rho\s…

無限小座標変換による体積要素の微小変化量

任意の無限小座標変換 $ x^\mu \to x'^\mu = x^\mu + \delta x^\mu $ において,体積要素 $ d^4x $ は \begin{equation}\label{eq:d4x} d^4x \to d^4x' = d^4x + d^4x\partial_\mu \delta x^\mu \end{equation} と変換されることを示そう. 小行列式と余因子…

maximaで正方行列の小行列式を一度に全て計算して書き出す関数

maxima で正方行列 X = (Xij) の(i,j)小行列式を全て書き出す関数が以下である. minors(X):=for i:1 while i<=matrix_size(X)[1] do (for j:1 while j<=matrix_size(X)[1] do print(i,j,"=",determinant(minor(X,i,j)))) 単純にminor関数を繰り返して計算し…

LaTeXで括弧付きのsmallmatrixの入力の仕方

mathtools パッケージに psmallmatrix環境が用意されていて,括弧つきの小さい行列を表示できる. 例 ・普通のpmatrixの場合 \begin{equation} \begin{pmatrix} 1 & 0 & 3 \\ 1 & -3 & 3 \\ 1 & 3 & -3 \end{pmatrix} \end{equation} ・psmallmatrixの場合(…

LaTeXで \underbrace で数式の下に長めの文字列を表示しても空白が出ないようにする方法

LaTeX で mathtools パッケージの \mathclap コマンドを使うことで,\underbrace で数式の下に長い説明を入れても数式の方に空白が出ないようにできる. 例 MathJaxではmathtoolsに対応してなくて中央寄せができないそうなので,以下に示す例は右寄せになっ…

ネーターカレントから得られる保存電荷と場のポアソン括弧と交換関係

九後汰一郎 『ゲージ場の量子論 I』p15 から以下の計算をまとめる. 作用積分 $ S[\varphi(x)] $ が場 $ \varphi(x) $ の無限小変換 \begin{equation} \varphi(x)_i \to \varphi'_i(x) = \varphi_i(x) + \epsilon G_i(\varphi(x)) \end{equation} について不…

ポアンカレ群の計算ノート

私が Pierre Ramond ”Field Theory A Modern Primer” §1.3 の ”The Poincaré Group” を読んだときにやった計算を載せていく. 文字の定義 P:平行移動の生成子・運動量 L:軌道角運動量 M:ローレンツ変換の生成子 W:パウリ- ルバンスキーベクトル 目次 文…

エルミート多項式の母関数と漸化式の導出

エルミート多項式 Hn(ξ) (n ≥ 0) は,以下の式を満たす. \begin{align} \sum_{n=0}^{\infty} \frac{H_n(\xi)}{n!} t^n &= e^{-t^2 + 2\xi t} =: S(\xi,t) \label{eq:bo}\\ H'_n(\xi) &= 2nH_{n-1} (\xi) \label{eq:'}\\ H_{n+1}(\xi) &= 2\xi H_n(\xi) -2nH…

1次元調和振動子のシュレディンガー方程式をエルミート多項式で書き下す

量子力学演習シリーズ ある固定した中心に向かって,その中心からの粒子の変位に比例した力を粒子が受ける場合を考える.その時のポテンシャルは V(x) = mω2 x2 /2 で表され,このようなポテンシャルに従う系を調和振動子系という.(ω は角振動数) この系…